スタジオポートレートで大切な3つの心得
1. 左右対称より、非対称が美しい
人間の目は、左右対称な姿勢よりも、少し傾きやズレのある姿勢に動きを感じ、美しさを見出します。
肩の高さや腰の位置を少しずらすだけで、ぐっと魅力が増します。
2. 重心を遊ばせる
全体重を両足で均等に支えようとすると、硬くぎこちなく見えます。
重心を片足に移すと、身体に自然なカーブが生まれ、柔らかさと立体感が出ます。
3. 意識するのは「骨」ではなく「ライン」
骨格や筋肉を意識するのではなく、首筋のライン、背中から腰のS字ライン、腕や脚の流れを意識します。
ラインを美しく見せることがポーズの目的です。
基本ポーズ集と解説
1. 立ち姿の基本
「少し斜めに構える」
カメラに正対すると、平面的で証明写真のようになります。
体の正面をカメラに対して30度?45度ほどひねると、ウエストラインや肩のラインが引き締まって見え、奥行きも生まれます。
ポイント
- 片足に体重を乗せて、もう一方の足は軽く前に出す
- 肩は少し下げてリラックス
- 顔もわずかにひねる(ただし目線はカメラでもOK)
2. 座りポーズ
「腰を深く、膝を崩して」
座ると、立っているときより重心が安定し、表情も自然になります。
椅子の場合は浅く腰掛けるのではなく、深く座り、脚を組む・崩すなどしてリズムをつけましょう。
ポイント
- 背筋を伸ばす
- 両膝を揃えるか、斜めにずらして脚のラインを作る
- 手は膝、太もも、椅子の背に軽く添える
3. 顔の角度と視線
「少し伏し目 or 視線を外す」
顔をカメラに向けてにっこりするのも悪くはありませんが、緊張感が出やすいです。
むしろ、少し顎を引いたり、目線をカメラの横にそらすと柔らかい雰囲気に。
ポイント
- 顎は軽く引き、首筋をスッキリ見せる
- 瞬きのタイミングを意識して目を開ける
- 目線を下や遠くに流してドラマチックに
4. 手の表情
「手の位置で印象が決まる」
初心者が一番困るのが手の置き場所。
ポケットに入れる、髪を触る、顔に添える、服の裾をつまむなど、手に意味を持たせると自然になります。
ポイント
- 両手をだらんとさせない
- 指先は軽く伸ばし、柔らかい形を意識する
- 小物を持つと自然な位置が決まる
5. 動きを感じさせるポーズ
「歩いている途中の一瞬」
完全に止まっているより、少し動きをつけると生き生きします。
その場で一歩前に出すだけでも、服や髪が揺れ、写真にストーリーが生まれます。
ポイント
- 小さく一歩を踏み出す
- 視線は前方か足元に
- 腕も自然に揺らす
撮影を楽しむためのヒント
心を写す
ポートレートは、単にポーズを決めるだけではありません。
「楽しむ気持ち」「なりたい自分のイメージ」を思い描くと、それが表情や姿勢に表れます。
息を抜く
緊張して呼吸が浅くなると、表情もこわばります。
深呼吸をして、撮影の合間に笑ったり雑談したりしてみましょう。
姿勢の意識は「見えない糸」
頭のてっぺんから糸で引っ張られているイメージを持つと、自然と姿勢が整います。
それだけで体が軽く見えます。
おわりに
ポートレートの美しさは、決して特別なテクニックやモデル体型にだけ宿るものではありません。
ほんの少し体の向きや視線を変えるだけで、スタジオ撮影はぐっと楽しく、豊かなものになります。
今回ご紹介したポーズは、プロの現場でも応用される基本ばかり。
ぜひ「自分の体のラインと向き合う」感覚で楽しんでみてください。
そして、ポーズを覚えれば覚えるほど、自分らしいスタイルが見つかっていきます。
スタジオという特別な空間で、ぜひ新しい自分に出会ってみてくださいね!